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祈りと感謝〜沖縄の年中行事
沖縄では旧暦に沿って、年中行事が行われます。それらは祖先に祈りを捧げるものから、五穀豊穣や豊漁を願うものまでさまざまです。近年では、エイサーやハーリー、大綱挽などは沖縄の伝統行事の代名詞のようになり、その迫力をひとめ見ようと国内外から多くの観光客も集うほどです。ここではそんな沖縄の年中行事の主なものを六つ、紹介します。
旧暦は、月の満ち欠けにあわせて作られた暦です。わたしたちはいま、地球が太陽の周りを回る周期を元にした太陽暦を使っていますが、日本では1873年に改められるまで旧暦が使われていました。さらに、季節を知る目安として約半月ごとの季節の移ろいをあらわす中国伝来の二十四節気を取り入れており、農耕社会だった沖縄では、その暦に合わせて豊作を祈る神事や祭祀を行い、それらが年中行事として定着しました。
このような地域で行う年中行事のほかに、沖縄では、火の神(ヒヌカン)や先祖への御願(ウガン)といった家庭や生活に密着した年中行事が行われていますが、こちらは行事というよりも、毎日の生活に感謝しながら家族の幸せを祈るひとときとして生活習慣の一部になっているといった方がしっくりくるかもしれません。正月や盆を旧暦に合わせて親族が集まる機会を設ける家庭も少なくありません。太陽暦が標準になったいまでも、沖縄では旧暦をベースに家庭や地域で年中行事を行うことを大切にしているといえます。
ハーリー、エイサー、大綱挽
初夏から8月ごろにかけて行われるハーリー・ハーレーは、航海安全や豊漁、無病息災を祈願する沖縄の漁師文化から派生した伝統行事で、爬竜船(ハリュウセン)と呼ばれる伝統漁船でその速さを競います。那覇ハーリーや糸満ハーレーが有名で、毎年賑わっています。
エイサーは旧盆に現世に戻ってくる祖先を迎え、見送るための踊りで、地域内の道を練り歩く「道ジュネー」が行われるなど、沖縄県民にとっては、エイサーと旧盆は地域でも家庭でも連動した年中行事といえます。また、旧盆明けの最初の週末には、沖縄県内の青年会が一堂に集結し代々受け継いできたエイサーを個性豊かに繰り広げる「全島エイサーまつり」も開催され、3日間で県内外から述べ30万人が訪れるほどです。
大綱挽は旧暦の6月から8月にかけて稲作のための雨乞いや五穀豊穣などが祈願され行われるものや、収穫を感謝する豊年祭などで行われる場合もあります。なかでも有名な那覇大綱挽では、参加者が平和安寧・市民繁栄・商売繁盛・家庭円満・子宝などの幸福を願って挽き、「繁栄・幸福・団結」をはかるための欠かせないコミュニケーションのひとつとなっているともいえるでしょう。
旧正月、清明祭、旧盆
現在、沖縄では1月1日の正月も祝われていますが、旧正月もまた年中行事として行われています。地域によっては井戸や湧水の出る場所からくんだ水を若水(ワカミジ)と呼び、それを火の神(ヒヌカン)に捧げ、その水でお茶をたてて、先祖の位牌に供えています。若水に中指をひたし、額を三回なでで健康を願う「ミジナディ」が行われている地域もありますが、現在では、朝一番の水道水でまかなうのが一般的になってきたようです。
草木が芽吹き、若い緑が美しく森が潤いはじめるさわやかな季節を、沖縄では「うりずん」と呼びます。そんな旧暦の3月に行われる祖先祭のひとつが、清明祭(シーミー)です。もともとは中国から伝えられた行事ですが、沖縄にすっかり定着しました。重箱料理、果物、酒などを持ちよった家族や一門が墓前に集まり、祖先を供養し家族の健康を祈願します。お墓の前で供物をお供えし、祖先と一緒にピクニックをするように賑わうシーミーは、沖縄独特の墓前祭といえます。祖先といまを生きる自分たちとの距離感が近い沖縄ならではの年中行事なのかもしれません。
旧盆は旧暦7月13日の祖先の霊を迎えるウンケー、14日のナカビ、15日の祖先の霊を送るウークイの3日間にわたる祖先祭で、地域でも家庭でも重要な年中行事のひとつです。旧盆の間、仏壇にはごちそうを供え、迎えた祖先の霊をもてなし、家族の健康や子孫繁栄を祈願し、祖先の霊の加護を祈ります。うれしいことが重なることを「盆と正月が一緒にやってきた」というように、沖縄でも盆(旧盆)は二大行事のひとつで、エイサーをはじめ、各地域で伝統行事が盛大に行われています。
ここで述べた六つの年中行事以外にも、地域ごとに個性豊かな年中行事が息づいています。たとえば八重山地方では旧盆のころに、ウシュマイとンミーというあの世から帰ってきたおじいさんとおばあさん をもてなす「アンガマ」という祭りがあったり、宮古島ではつる草をまとって全身に泥を塗った「パーントゥ」と呼ばれる神様に泥をぬってもらうことによって厄除けになるという行事があったり、ひとくちに沖縄といっても、地域ごとに実にさまざまな年中行事が行われており、その多様性に驚かされます。
参考サイト
【VISIT OKINAWA JAPAN】The Old Calendar Culture That Continues in Modern Time