東洋のガラパゴス〜沖縄の自然と固有種

亜熱帯海洋性気候に属し、160もの島々からなる沖縄県。その昔、ユーラシア大陸や日本列島と陸続きであったため、いろいろな生き物たちが沖縄にわたってきましたが、その後、気候の温暖化や地殻変動によって琉球列島の大部分が海面下に沈み、南北に点々と続く島々となり、島の動植物は環境に対応すべく独自の進化を遂げました。沖縄は多様で豊かな自然環境に恵まれており、沖縄にだけ生息する動植物が数多くいます。「生物の宝庫」「東洋のガラパゴス」といわれるのは、そのためです。

琉球諸島は、世界のほかの亜熱帯地域と比較して雨が多いため、豊かな森林が分布しています。亜熱帯系植物群と温帯系植物群の交錯がある山地林、海岸のマングローブ林、浅海のサンゴ礁と特徴的な生態系が密接に関わりながら固有種の主要な生息・生育地となっています。

 

なかでも、原生林が広がる西表島と山原とよばれる沖縄本島北部には特に珍しい動物が住んでいます。その生態系と生物多様性が評価され、現在、世界自然遺産の候補地になっています。太古からの自然が息づくこれらの地域には、イリオモテヤマネコ、ノグチゲラやヤンバルクイナ、ヤンバルテナガコガネなどのように世界中でここだけにしかいない固有種と呼ばれる生物が生き延びています。

ちなみに、これらの豊かさを数値で見てみると、シダ植物および種子植物の自生種は約1,600種、そのうち固有種は100種以上、変種を含めれば120種以上が確認されています。

また、陸生哺乳類では現生の日本在来種合計105種のうち約25%にあたる26種が生息しており、琉球諸島の固有種率は58%と極めて高いものとなっています。

 

海生哺乳類でも、これまでに鯨目が30種から33種、海牛目(カイギュウモク)1種が確認されています。なお、慶良間諸島一帯はザトウクジラの繁殖に適した海域なので、個体識別やホエールウオッチングが行われています。

鳥類を挙げても、日本産鳥類542種のうち、約73%の395種が琉球諸島で記録されています。爬虫類も日本在来種95種のうち、約75%にあたる71種(海生爬虫類15種、陸生爬虫類56種)が生息しており、陸生爬虫類にいたっては56種のうち、46種が日本固有種で、約82%という極めて高い固有種率となっています。

 

また、世界には約800種類もの珊瑚が存在するといわれていますが、沖縄の海ではそのうちの四分の一である約200種類の珊瑚が確認されており、神秘的な彩りが幻想的な海の世界を演出しダイバー達を魅了しています。

このように沖縄には、豊かな自然が生み出した生態系と生物多様性が存在しており、この美しく雄大な自然の営みを未来へと残すべく、今後、ますますの保全・保護活動が必要とされています。

 

 

 

参考サイト

【沖縄県「琉球諸島」の自然特性 概要

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