独自の文化が育んだ技術の結晶、沖縄の伝統工芸

豊かな自然とともに生き、琉球王国時代に海外文化の影響を受けながら独自の文化を築いてきた沖縄では、独自の技法を発達させて受け継いできた伝統工芸品が数多くあります。2019年11月現在、経済産業省が指定する「伝統的工芸品」235品目のうち、沖縄県では織物、染め物、焼き物など16品目が指定されており、この数は東京や京都に次ぐ多さ。ここでは、沖縄の伝統工芸について述べます。

素朴さと力強さを持つ「焼物」

沖縄では焼物は「ヤチムン」と呼ばれています。焼物が沖縄に伝わったのは、14世紀から16世紀ごろ。当時、琉球王国だった沖縄は、中国や東南アジア各国と盛んに交易をしており、その交流の中で、焼物の製造技術が伝来したと考えられています。

 

17世紀に入り薩摩(現在の鹿児島県)が琉球を治めるようになってからは、朝鮮半島から技術者を呼ぶなどして焼物の技術を学んだため、その製法は独自に発展したとされます。

 

沖縄の代表的な焼物が、現在の那覇市にある壺屋で作られる壺屋焼。琉球国王が国をあげて生産に取り組んだ焼物は、現在でも焼物の町として知られる壺屋や中部の読谷村で焼かれており、その素朴な魅力は地元民だけではなく、国内外から訪れる観光客にも浸透しています。

繊細かつ大胆、多様性に満ちた「染織物」

琉球王国が栄えた14世紀から16世紀ごろ、中国や東南アジア、インドと盛んに交易を行なっていた際、絣や染織の技法も琉球王国に入ってきました。染織物の技法は国王からの保護を受けながら発展し継承され、琉球独自の染め織り文化を作り上げたのです。

 

沖縄でただひとつの染物技術である「紅型」、インドから伝わったとされる「琉球絣」、沖縄でただひとつの泥染め「久米島紬」のほか、「芭蕉布」「宮古上布」、「八重山上布」、「花織」、「ミンサー」など、沖縄の染織物の種類は非常に豊富で、経済産業省が指定する「伝統的工芸品」16品目のうち、染織物は13品目にも及びます。

なめらかな艶と沖縄を感じる絵柄「琉球漆器」

漆を塗って仕上げた器具「漆器」は、沖縄では琉球王国時代である14世紀に作られるようになったといわれています。当初、中国から伝わった技術ですが、「琉球漆器」として独自に発展し、諸外国に輸出品として販売できるほどに。その技術の高さは、「堆錦(ついきん)」と呼ばれる沖縄特有の装飾法にも集約されています。

沖縄の心の音色奏でる「三線」

独立国家として栄えていた琉球王国に14世紀末ごろ、中国から三線の原型である楽器が持ち込まれ、15世紀になると国王より士族の教養の一つとして奨励されるようになった三線。その起源をさらに遡ると、古代エジプトのラバーブやペルシャのシタールなどが原型とされており、シルクロードの交易ルートをたどって楽器も伝わったことがわかります。その後、琉球から日本本土に伝えられ、三味線として普及していったといわれています。三線は、沖縄の伝統芸能である組踊(くみおどり)やエイサー、民謡などで演奏されるだけでなく、近年ではポップスにも用いられ、飾らない美しい音色が多くの人々を魅了しています。

色鮮やかな「琉球ガラス」

経済産業省が指定する「伝統的工芸品」ではありませんが、琉球ガラスも伝統工芸として親しまれているアイテムのひとつです。沖縄でガラスの製造がはじまったのは20世紀初頭とされ、当時は透明な薬ビンや菓子ビンなどが作られていたといいます。戦後からは使用済みのビンを利用したガラスの製造も行われ、しばらくすると色付きガラスが琉球ガラスとして広まっていきました。現在では多くの製品が珪砂や石灰などを混ぜた原料で製造されており、色鮮やかなガラスや製作体験ができることで親しまれています。

 

 

 

参考サイト

【沖縄県】沖縄の伝統工芸

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